再びバンクーバー。


5月2日(火)
・・・モーニングコールによく出られたと思う。
あの非常ベル騒ぎの後、コンビニに買い物に行き日本から持ってきた物と少しの買いだしてきた物でおなかを満たし、お風呂に入り、荷物をすぐにでも出せるようにその夜着るパジャマ以外を押し込み、、、ずいぶんな時間に寝たんだと思う。
(朝起きて荷物をまとめられる自信なかったしね)
もしかして数時間しか寝ていなかったかもしれないなぁ。

ただ、この夜もとっても疲れていたのと、でも充足された思いとでぐっすりと眠ることが出来て電話に出たときはかなりつらかったけど、起きてみると体が重いというわけでもなかったです。
もう一度室内をよく見回して、パジャマとかを押し込み、荷物をもう部屋の外に出して朝食を済ませました。
随分お世話になったこのホテルともいよいよお別れです。

空港までまた2班に分かれてバスに乗り込み、チーフマネージャー君はずいぶんな荷物を抱えていました。
バンクーバーでも配るための「うたおに」のCDとかおみやげをすべて運んでいてくれたようです。
その袋を抱える姿からか子供達には「サンタクロース!!」と大人気でした。
本当にご苦労さま。

トロントの空港。初めてすべてのメンバーで乗る飛行機です。
表情にはかなり疲れも見えたけれど、とくに大人も子供も体調を崩してる様子はありません。
良かった。
子供達もまだまだとっても元気でした。

少しの待ち時間で空港内でショッピングなどを楽しみ、一路往き道乗り換えたバンクーバーに向けて移動します。大体5時間程度かかり、お昼過ぎには着く予定です。

この日は夜にはバンクーバーの領事館で領事ご夫妻に主催していただいた夕食会に出る予定になっています。翌日は夜演奏会ですし、本当につかの間の休息でした。

添乗員さんにすっかりなついた子供達は彼女の横に座る!と、ここでもとってもご苦労さま状態でした。

バンクーバーに着きまずは昼食です。
トロントの都会的な街並みとはまたまるで違う、緑の中に色々な文化が入り交じった風が印象的でした。

一路向かったのはバンクーバーではかなり見られる中華料理店でした。
店内に入り中華が並べられると
「なんで中華が出てこんなに安心するンや?」
とすっかり中国慣れしてしまったメンバーからは聞かれましたが、
実際確かに肉とパンが続いたトロントでそろそろ日本も恋しくなってきた頃です。

にも関わらず回るテーブルが実にほっとさせてくれましたね。

アジア人の血なのか(?)単にチャイニーズにどっぷり浸ってしまってる「うたおに」なのか・・・(^_^;)

昼食後領事館に行く夜まで時間に少し余裕があるので観光を入れていただいたようです。とっても有名なところですよね。バンクーバーでのおきまりコース。
トーテムポールを見て壮大なガーデンを見て・・・。

おぉい、頼むから花満開を見せて現実に戻さないでくれー!!(^_^;)
(しかし、我が家の花たちは無事かいな・・・?)

大橋 巨泉さんが経営してるという「OKギフトショップ」近くで自由時間を貰ってひとときのショッピング。免罪店やらなにやら・・・。
本当にこの付近を中心に色んな物が集中してるようです。
本日泊まる予定のホテルからはもう歩いてこられるところです。

このショッピングの時間を利用して、団長はじめバンクーバー公演のサイドと打ち合わせに向かいました。少し緊張感も走ります。
(ハハハ、これも僕行ってないよ・・・)

夕刻余裕を持ってホテル入り。
部屋に入ってびっくり!
これって、この部屋でいいの?
バンクーバーではこれが当たり前なのか、それともバンクーバーサイドから気を遣っていただきとって貰ったのか、すべての部屋はキッチンとかも別に付いているスイートルームでした。
部屋によっては電子レンジがあったりオーブンがあったり・・・。
しかも高いところの部屋で方角によってはとてもきれいな夜景が見れたようです。

カナダ入りする前に一部スタッフとバンクーバーの公演を主催していただく中心に立っていただいた女性、コプソン・タマコさんとの間では東京にて話し合いがもたれていました。
この時に、前にも書いた飛行機での過ごし方など色々なアドバイスとともに
「みなさんには最もいい状態で演奏会に臨んでいただくようにベストなもてなしをさせていただきます」
と、伺ってきていたようです。

少し時間を戻してそのカナダに行く前のこの話し合いのことですが、
・・・この話し合い、さすがにカナダにも行かなきゃ行けないし、春の花のシーズンのピーク時でとても僕は土曜日に日帰りとはいえ向かうことは出来ませんでした。
指揮者含め3名で向かっています。(4月の頭だったと記憶しています)

打ち合わせの日の、忘れもしない土曜の夕刻の切り花をしていたら打ち合わせ陣帰り道の団長から携帯に電話が入り、切り花をしながらも団長の口調、内容からそのうちあわせの様子がよく分かりました。

当然このカナダ公演に向けて「うたおに」はずっと気を引き締めやってきていたのですが、それでもここへ来てさらに、
バンクーバーのあの熱意に答えるには、もっと厳しい部分で誠意を持つべき、と。

そのうちあわせでバンクーバーのプロの合唱団「バンクーバー・チェンバークワイア」がすでに「うたおに」が委嘱した「17の俳句」をCDレコーディングをしてまもなく発売であり、そのメンバー達がバンクーバー公演にみんな聴きに来ることを知りました。
すでに録音したメンバー達が本家本元の演奏がどんなのか興味津々であることも。
(舞台ではまだ一度も演奏されていないようです)

バンクーバーチェンバーのCDを聴き、「マジックソングズ」という作品を知った僕たち「うたおに」。
何度も何度も聴きました。
マジックソングズ、ガーデンベルズ、フェリックスガールズ、ファイアー、ガムラン・・・
僕らにとって、珠玉のような演奏の数々でした。

初演含め何度も演奏をした「俳句」ですが、3年もたち、メンバーも替わり、指揮者も代わり、不安がないはずがありません。

カナダで活躍するプロの合唱団を中心に多くのメンバーがこの公演に非常に期待をして来ていただくらしい。
一年前取り組んだサッリネンの作品で知ったカナダの合唱団、フェニックスチェンバークワイヤのメンバーや指揮者もみんなみえるという・・・。

その打ち合わせを聞き、僕の中で気後れした部分が出てきたのは正直な気持ちでした。もう一月を切ってしまったこの頃、カナダに向かうのがまた途方もない物に感じたのも覚えています。

日本を発つ前の練習で、あるメンバーが
「うちの方がいい演奏が出来るに決まっている」
「日本人なのに、出来ないはずがない」
と、独り言のようにさらりと言った言葉が聞こえました。

ご本人もあるいは言い聞かせる部分もあって呟いた言葉だったのかも知れません。

けれど、僕の中ではこの言葉も本番を迎える瞬間まで大きく響き支えになっていました。日本人である僕たちが「俳句」を伝えるんだ!
トロント公演の前にも、このことをもう一度思い出していました。

トロント公演の後のシェイファー氏の話には
「私はバンクーバー公演がどんな風に進められていて、どんな人たちが来る演奏会なのかも知りません。ただ分かるのは、バンクーバーの公演はバトルですよ」
「うたおに」のそのままで真っ向から表現してください、立ち向かってください、という檄だったのでしょう。

大きなホテルの部屋でこの後の領事館のレセプションの準備をしながら少しずつ張りつめていく気持ちを感じていました。

続く