バンクーバー公演


 懺悔するお部屋というみょ〜な雰囲気で、トロント公演と同じく上下黒の衣装に着替えました。

そして提灯の用意。
わあ?!他人の世話ばっか焼いてたら僕の提灯が点かないやないか!
よく見るとハンダが取れ配線が外れてる。

え−−!今から直す元気というか、勇気ない−。

…ふと、ここまで書いて思い当たる。
ハンダ・・・。

もしかしてこの時にツアー前ハンダづけをしてくれたメンバーがご厚意で、
「なんなら直す?」と、貸してくれた・・・???のが、あのハンダセットだったんだろうか・・・。

うーん。

今、母屋パソコンの棚の横をおそるおそる見てみたらちゃんと電球とかの部品とともに袋に入って・・・まだ、ある・・・。
うーーん。m(_ _)m

この時、僕が入る前年のうたおに音楽会は本番前に、ハンダづけに追われた、て言葉がよぎる。
僕もここでハンダごてに火を入れて伝説を作ろう…

って、イヤや〜!!

なんでこんな場面で中学の技術の授業以来のハンダづけなんかせなあかんのや−−−。(笑)

本番はもうすぐそこです…。
そーっと電球の片方の線を伸びるだけひっぱり、もう片方は電池ボックスの接点に直接はさんでやると、

を。
点くじゃないか。
少しくらい振り回しても。
を。
大丈夫やないか。
もうこれでいこう。
と、腫れ物触るごとく、そ−っとしておきました。

いよいよ開演時刻が近付いてきました。
お手洗いを済ませておこうと控え室から出る。
演奏会がよくあるとはいえ、普段は教会なので、出演者用のトイレはなくて、客席の横を通っていきます。
もう沢山のお客様がみえて下さってるのがよく分かります。トロントの時は直前に、そんなにすごい数のお客じゃないんだし緊張は無用だなって開き直れたけど、今度はどうもそういかないようです。

いよいよステ−ジマネ−ジャ−の林さんに呼ばれて待機です。
女声控室は階段上がった二階だったので降りてきて男声と同じくステ−ジ裏の細い通路に待機してたのを覚えています。

拍手に迎えられ会場に出ると、二階までびっくりするほど埋まっています。
全部で700人くらい座れる大きな教会ですが、両サイドにはお客様を入れてないので入場400名超えるくらいでしょうか。
一階席中央には昨夜僕らのためにレセプションパ−ティ−を開いてくださった楠本日本領事ご夫妻の顔も見えます。

いよいよ演奏会開始です。

プログラムはトロントと同じ進行でマジックソングズから。
たくさんのお客様の前で心地良い緊張感を今も思い出します。

僕らが歌うところはいわゆるステージという感じではないのですが、前述の山台を使い32名の歌い手が並ぶとちょうどいいくらいの大きさでした。

俳句で動きも伴うので若干下手(しもて)ソプラノ側にあった石の置物が気になり、お尋ねしたらまさかとは思ったのに移動させて貰うことができました。
結構な重みで一千万円!!超える代物だそうな…、男声メンバ−で慎重にのけました。
「こ−ゆ−風に回しながらなら動くンとちゃう(違う)?」などという指示の元、石油ドラム缶動かすごとく、そ−−−っと(^_^;))

後に東京混声合唱団がここで演奏会をした写真がチラシに使われていて、

僕らこのをのけたン!
と、得意気に話すのでした(^_^;)

使わせて頂いている山台も、平場として立つ場所もカ−ペット生地が張ってあり、マジックソングズの最後の足踏み音は聞こえそうにありません。(号泣する団員約一名 笑)

この曲を持って出たコンク−ル、高松での全国大会でも山台に同じようなのが張ってあり、

「困るなあ、うちの楽器に勝手にこんなもん張って貰っちゃ〜、ておもむろに剥がさなあかんわさ(笑)」
(東京でご活躍の某指揮者談)
・・・の言葉を思い出してました(^_^;)

マジックソングズは午前中の確認通りアタッカで続けて演奏するのでなく途中配置替えがあります。
動物の魂を…の曲の時に男声は指揮者を囲むくらいの位置に着き、呪文を唱えます。
指揮者はほとんど真後ろに一番前のお客が聞いているような位置で振っていたのですから、それを囲む僕らの目の前というか真横はお客です。僕の視界にはいる1メ−トルない位置にはタマコさんと楠本日本領事ご夫妻が…。
内心はひえ〜っ!と、思いながら、そんなこと感じさせないよ−に必死でした。

必死が必死さを呼び、そのうち呪文の回数も分からなくなる。(笑)
ベ−ス側から伝染してサラウンド状態に(大笑い)

をい!だれがお−とんのや!(正解なの?)       
女声はひたすら高音を歌い続けるので知らん、知らん!と、ちゃんと曲は着地します(^_^;)

次の曲、蜜蜂が・・・では、三人の男声ソリスト(?)はさらに位置を替え歩きながら歌います。
目が合ったお客様がにこっと笑ってくださったのが印象的でした。
そのまま、石が歌う、終曲の魔法を働かせる歌に続き、女声がそのまま残る舞台から客席前までいっぱいに広がった状態で終演。

みんな〜、力みすぎやぁ〜、
と指揮者が笑いながら舞台袖でつぶやきましたとさ・・・(^^;